伝説を超えた衝撃「ディープインパクト」Deep Impact

ディープインパクト（2002年3月25日生まれ、2019年7月30日没）は、日本競馬史に燦然と輝く伝説の名馬です。その圧倒的な末脚と華麗な走りで、多くの競馬ファンを魅了し、日本競馬の象徴的な存在となりました。競走馬としてGⅠ7勝を挙げたほか、引退後も種牡馬として数々の名馬を輩出し、現在もその血統は世界中で受け継がれています。

 誕生と血統

ディープインパクトは、2002年3月25日に北海道のノーザンファームで生まれました。父は日本競馬界の大種牡馬サンデーサイレンス、母はフランス産のウインドインハーヘア。母の父は名種牡馬アルザオで、欧州の名血を受け継いでいました。

この血統背景から、ディープインパクトは生まれながらにして大きな期待を背負っていました。育成は社台ファームで行われ、栗東の池江泰郎厩舎に入厩しました。

3歳（2005年）：無敗の三冠馬

デビューから皐月賞まで

2004年12月にデビュー戦（2歳新馬戦）を迎えると、後方から一気に差し切る圧巻の走りで初勝利。翌年の若駒ステークス（OP）も快勝し、その圧倒的な末脚から「飛ぶような走り」と称されるようになりました。

続く弥生賞（GⅡ）では、スローペースにもかかわらず圧倒的な差し脚で勝利し、クラシックの本命馬として皐月賞に臨みました。

無敗のクラシック三冠達成

• 皐月賞（GⅠ）：後方から直線一気に突き抜け、クラシック初制覇。
• 日本ダービー（GⅠ）：2着に5馬身差をつける圧勝劇で二冠達成。
• 菊花賞（GⅠ）：距離不安を払拭し、無敗で史上2頭目の三冠馬に。

こうしてディープインパクトは、シンボリルドルフ以来21年ぶり、史上2頭目の無敗の三冠馬となりました。

4歳（2006年）：国内無敵の7冠達成

春シーズン：天皇賞（春）＆宝塚記念

4歳初戦の阪神大賞典（GⅡ）を難なく勝利すると、天皇賞（春）（GⅠ）では武豊騎手が最後方から仕掛け、驚異的な末脚で差し切り勝ち。長距離適性も証明しました。

続く宝塚記念（GⅠ）では、単勝1.1倍の圧倒的支持を受け、持ち前の瞬発力を発揮して完勝。この時点でGⅠ5勝を達成しました。

海外挑戦：凱旋門賞（GⅠ）

秋には日本調教馬として初めてフランスの凱旋門賞に挑戦。しかし、レース前に禁止薬物が投与されるというトラブルもあり、本来の力を発揮できず3着（のちに失格）。それでも、日本競馬の夢を世界に広げる大きな一歩となりました。

ラストラン：ジャパンカップ＆有馬記念

帰国後、ジャパンカップ（GⅠ）では、凱旋門賞の雪辱を果たすかのように圧勝。そして、引退レースとなった有馬記念（GⅠ）では、1.2倍の圧倒的支持を受け、完璧なラストランを飾りました。

この勝利でディープインパクトは、史上2頭目のJRA・GⅠ7勝馬となり、有終の美を飾りました。

引退後：種牡馬としての偉大な功績

ディープインパクトは2007年から社台スタリオンステーションで種牡馬入り。産駒は日本国内外で大活躍し、JRAリーディングサイアー（種牡馬ランキング1位）を11年連続（2012年〜2022年）で獲得しました。

代表産駒には、

• ジェンティルドンナ（牝馬三冠・ジャパンカップ連覇）
• キズナ（日本ダービー馬）
• サトノダイヤモンド（有馬記念・菊花賞）
• コントレイル（無敗の三冠馬）
• グローリーヴェイズ（香港ヴァーズ）
• ラヴズオンリーユー（BCフィリー＆メアターフ）

などがいます。特にコントレイルは、父に続く史上3頭目の無敗三冠馬となり、その偉大な血統を証明しました。

伝説の終焉

2019年7月30日、ディープインパクトは頸椎の病気により安楽死処置が取られました。17歳の若さでこの世を去りましたが、その血統は世界中で受け継がれています。

ディープインパクトの偉大さ

✅ 無敗での三冠達成（史上2頭目）
✅ JRA・GⅠ7勝（歴代最多タイ）
✅ 国内外の競馬ファンを魅了した圧倒的な末脚
✅ 種牡馬として日本競馬を世界トップレベルへ押し上げた

ディープインパクトは、競走馬としても種牡馬としても、日本競馬界の歴史を変えた伝説の存在です。その名は、これからも語り継がれていくでしょう。

ディープインパクトの競走成績